• 温度分布で人や環境を遠隔監視! 赤外線アレイセンサーNEQTOを用いた使用例について

本記事のポイント

本記事では赤外線アレイセンサーとIoT-CoreエンジンNEQTO(以下NEQTO)を用いて遠隔で人の監視や環境の温度変化を監視する使用例をご紹介します。



1. はじめに

IoTデバイスを用いた開発を行うご担当者様の中には、以下のような機能を実現させたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

  • 室内の温度分布を取得したい。
  • 人を検知したい。
  • 人数をカウントしたい。
  • 在席者の位置検知を行いたい。
  • 移動方向の検知を行いたい。
  • 人の在/不在を検知したい。

そのような場合、IoT-Coreエンジン NEQTO(以下NEQTO)を利用してデータ取得が可能です。 以降では、温度分布データを取得可能な赤外線アレイセンサーを用いてNEQTOで遠隔監視する方法をご紹介します。

2. 赤外線アレイセンサーとは?

赤外線アレイセンサーとは、物体から放射される赤外線を検出し、温度分布データを出力するセンサーです。赤外線を検知する部分には画素がアレイ状に配置されているため、レンズを用いて結像させることで熱画像が得られます。

下画像は8×8の赤外線アレイセンサーを使用した場合のイメージ図です。

図1. 8×8の赤外線アレイセンサーを使用した場合のイメージ図

図1. 8×8の赤外線アレイセンサーを使用した場合のイメージ図

3. 赤外線アレイセンサーの温度分布を取得する

それでは、実際に赤外線アレイセンサーとNEQTOを用いた使用例として、会議室の温度分布を遠隔監視するデモを行ってみたいと思います。

今回使用する赤外線アレイセンサーはSeeed社製 Grove赤外線温度センサーアレイ(AMG8833)(以下AMG8833)です。このセンサーは、8×8の64画素のアレイセンサーとなっており、通信方式はI2C通信となっています。

3-1. 使用部品

  • STM32 Discovery Kit
  • Grove赤外線温度センサーアレイ(AMG8833)
  • Grove・Qwiic対応 I2C通信距離延長モジュール(2個セット)
図2. 構成部品

図2. 構成部品

3-2. 構成

今回のデモは以下の構成で実施しました。

図3. デモの構成

図3. デモの構成

3-3. AMG8833の検出範囲

AMG8833の検出範囲は、実測により確認したセンサーからテーブルまでの高さとデータシートに記載されていたセンサーの視野角より算出しました。

図4. 会議室の環境とAMG88833の検出範囲

図4. 会議室の環境とAMG88833の検出範囲

図5. センサーの配列番号

図5. センサーの配列番号

3-4. 結果

下図が測定結果です。

左が会議室を上から撮った写真、右が測定結果を8×8のヒートマップで表した画像です。

図6. 測定時の会議室の写真と測定結果を8×8のヒートマップで表した写真の比較

図6. 測定時の会議室の写真と測定結果を8×8のヒートマップで表した画像の比較

左右の写真を比較し、座っている箇所の温度(オレンジ枠)が高くなっていることから、会議室内の人が座っている場所を温度分布から取得することができました。

4. 最後に

今回は温度分布データを取得可能な赤外線アレイセンサーとNEQTOを用いて、遠隔で会議室の温度分布を監視する使用例をご紹介しました。

赤外線アレイセンサーはカメラと違いプライバシーを侵害しないことも利点です。

ご紹介したデモは次のような活用方法が考えられます。

  • 室内の温度分布の取得
  • 来場者の人数カウント
  • 会議室の在席状況や在席位置の確認
  • 移動方向の検知
  • 高齢者の見守り

本記事がNEQTOをご利用いただけるきっかけになれば幸いです。

リンク


今回使用したデバイスの購入先 STM32L4+ Discovery kit IoT node [B-L4S5I-IOT01A]: STマイクロエレクトロニクス
Grove赤外線温度センサーアレイ (AMG8833): Seeed
Grove・Qwiic対応 I2C通信距離延長モジュール(2個セット): スイッチサイエンス